「ごちそうさまです。今日は帰って寝ます」

小さく呟いたあたしは席を立つと食器を持って台所へ向かった。
でもそれを杏子さんが邪魔をする。

「樹々ちゃんいいわよ。私、樹々ちゃんを送ってくるから」

杏子さんは食器を洗うあたしの手を止めて、背中を押すようにあたしを玄関まで導いてくれる。

新しい缶ビールを空けたばかりだというのに・・・・・・。

そして向日葵や瑞季に見送られながら、杏子さんの家を後にした。

・・・・お礼、言ってない。


あたしが急に涙を流した理由、それは昔の出来事を思い出したから。

『死んだ方がマシ』と、何度も思わされた過去を思い出したから。

本当にもう思い出したくないのに、なんで思い出しちゃうんだろう。
なんで記憶って消えないんだろう。

なんであたし、こんな辛い思いをして生きていかなきゃダメなんだろう。

ホント、自分の人生がバカバカしい・・・・・。

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