この一家はあたしの命の恩人と言っても過言ではない。
三年前の中学三年生の時、あたしが夜中の道端で倒れていた所を助けてくれた。

あたしは食べるものがなく深夜にコンビニに行こうとしたが、その途中で力尽きてしまった。
意識を失っていた。

でもその際に助けてくれたのが杏子さんとシロさんの姉妹だった。
破天荒な『滅茶苦茶姉妹』。

杏子さんとシロさんは『何で夜道で倒れているの?』とか、『どうして夜中に飛び出してまで食料を探そうとしていたの』とか、気になる事だらけのあたしに、何も問わなかった。

それどころか何も言わずに暖かいご飯を作ってくれた。
そしてその日は杏子さんの家に泊まって、翌朝に笑顔で『また来てね』って言って彼女達と別れた。

それから街で二人に会う度に晩ごはんを作ってくれた。
帰り際にも、少しの食料を渡してくれたっけ。

今回だってそうだ。
一週間前、あたしは若槻家の晩ごはんに招待されたにも関わらず、あたしは一向に返事を返さなかった。

と言うか携帯電話が電池切れ。
充電器はすでに壊れているし。

そんなあたし心配した杏子さんがあたしの家に向かうと、胃腸炎で倒れているあたしの姿を見つけた。

そしてあたしをまるで本当のお母さんのように、杏子さんは看病してくれる。
嫌な顔せず、ずっとあたしの側に居てくれた。

血も繋がっていない、他人のあたしなのに。

本当に意味がわからない。
杏子さん達に何にも得はないはずなのに。