九月になっても、秋を感じさせる心地よい涼しさはまだやってこない。
まるで溶けてしまいそうな、熱いお湯をかけられたような暑い日々はまだまだ終わる気配はない。

同時にジリジリと鳴き続ける蝉の声も活発で鳴き止やむ気配がない。

新学期が始まり授業も再開された。
高校三年生の私達にとっては大事な時期だし、就職組は企業との面接が始まる。

みんなの目の色も夏休み前と比べたら違う気がする。

一方の私はいつもと変わらない日々。

友達の山村紗季（ヤマムラ　サキ）や川島橙磨（カワシマ　トウマ）さんと一緒に時間を潰す日々。

いつもと変わらない楽しい日々だった。
柴田愛藍（アラン）とはあれ以来連絡もないし会ってもない。

昔の事を話して昔みたいに仲良く話したけど、『本当に昔の関係に戻ったのか』と思うと疑問が浮かぶ。

正直、まだ愛藍のことが怖い自分もいる。
まだ愛藍に心を閉ざしているのも事実なんだろう。

なにより『それ以来連絡取ってない』ってことが一番の証拠になる。
まだ『その程度の知人関係』ってことにも捉えらえられるのではないだろうか。

そんな複雑な気分のまま私の学校生活は進んでいく。

早いもので学校が始まってから一週間が過ぎた、ある日の昼休みのことだ。

教室の一角で私と紗季は昼食を食べていた。

私は購買で買ったの菓子パン。
今日はチョコクロワッサンだ。

一方の紗季は弁当を持参している。
親が作ってくれるのか、自分で作ったのかはわからない。

今日の紗季の弁当はは卵焼きがメインみたいだ。
他にもゴボウのきんぴらなど、和を基準とした料理が詰められている。

そして本来ならもう一人一緒に昼食を食べる人物がいるのだけど、この一週間そこに私の友達の姿は無かった。

と言うより彼女は生きているのだろうか？

「樹々ちゃんは今日も休みなのかな？」

連絡もないし、一向に姿を見せない松川樹々（マツカワ　キキ）に紗季は疑問に思っているようだ。

私も言葉を返す。