私と愛藍は駅に向かって歩きだす。
過去の話はしなかったが、変わりに未来の話をした。

愛藍は高校を卒業したら、ドイツでピアノ留学をするらしい。

『更に上を目指さないと駄目なんだ』って。
『みんなと一緒のことにしていては、絶対に成功しない』なんて愛藍らしい事を言っていた。

一方の私は・・・・わからない。
将来のことなんて、まだ決めていない。

就職して、まず人見知りを治そうかと思っていた。
何の仕事がしたいとか、何になりたいとかのビジョンはないけど・・・・・・。

『もうちょっと誰かと一緒に過ごせる高校生活を楽しみたいな』って思う自分もいた。
でもそれじゃあ『留年するか?』って結論になっちょうけど・・・・・。

そこに樹々や紗季、それに橙磨さんが居なかったら意味がないと言うことに気が付いて、私はちゃんと就職して、卒業しようと心に誓った。

そして『もっと色んな事を知りたい』と思った。
『もっと色んな人に出会いたい』と、ふと私らしくないそことを思ってしまった。

草太と出会わなかったら、『今頃私と愛藍はどうなっていたんだろう』と思ったら、ゾッとする。

でも、なんかこんなことを考えるの私って私らしくないな。

そう思ったら可笑しくて私は笑っていた。

ホント、らしくない・・・・。