「さっきから何言ってんだよ馬鹿。あのまま縁切ったら、元に戻れねぇだろうが。お前をいじめた本当の理由は、『俺達が悪い』と認識させるため。泣きながら『茜を蹴飛ばしてしまった』という葵に、俺が提案したんだ。お前『他人に興味ない』って言うくせにトラブルがあれば自分のせいで物事を考えようとするじゃねぇか。自分せいで、関係を崩してしまったと思っているからこそ、自分自身を責めないように。俺達が、悪者になるように」

さっきから何を言っているんだこのわからず屋め！

馬鹿はそっちだ！

「だとしたら、実際私をいじめても何にも変わらなかった。私は変わらず、自分のせいでこんな目になったと思い続けた。それって無意味な行動だったんじゃないの？」

私の意思は変わらない。
私が謝るまで、何も認めたくない。

って何度も言っているのに、また愛藍は訳のわからないことを言い出した。

本当に馬鹿だコイツは。

「最悪の事態は間逃れたと俺は思う」

「最悪の事態？何が言いたいのさ！」

突然愛藍の表情が曇った。
そしてまた私に語りかけるように、静かに言った。

「言っただろ？『疎遠になるのが恐かった』って。疎遠になったら、もうそれはただの他人。そんな最悪の事態になるのが嫌だった」

意味がわからない。
愛藍は何が言いたいのだろうか。

私はまた言い返そうと声を張ろうとしたが、愛藍は突然七年間の目的地を告げる。

愛藍は今の夢を語り始める。

「俺は三人で遊んでいた頃に戻りたいだけ。お前に謝って、俺らはその罪を全てを償う。それが俺と葵の全てのゴールだ」

私は息を呑んだ。

でもそんな言葉信用したくない。
絶対に信じたくない。

・・・・・・・。

頑固だな、私。
それを認めれば全て丸く収まるのに。

私も同じことを思っていたのに。
同じ夢を目標に進んでいるのに。

なんで私は嫌がるのだろう。

やっぱり、これだけ愛藍の本音を聞いても、まだ『自分が悪い』と思っているからなのだろうか。
愛藍を信じられないバカな自分がいるからだろうか。

まあ、なんでもいいか。

私は反論する。

「嘘だ、そんなの絶対に嘘だ！」

「嘘じゃねぇよ！俺達親友だろ？どうしてお前はいつも俺達を信じてくれなかったんだよ！上級生と喧嘩する時だってそうじゃねぇか。いつもお前に『喧嘩に行くぞ』って言っても、側で見ているだけだし」

コイツ、本当に馬鹿？

「そんなの怪我するからに決まってんじゃん！私、女だよ？なんで男の喧嘩に私が参加しなければいけなかったのさ！」

気のせいだろうか。私の言葉に愛藍の表情が赤くなった気がする。
こんなの初めて見るかも。

というか、何で？

愛藍はその表情のまま、また意味のわからないことを言ってくる。