あれからかなりの時間が経った。
時間は午後六時。

雨はまだ降り続け、更に激しくなった。

早く帰らないと兄に怒られるのに、私はまだ古びたベンチで泣いていた。
先ほどの事を引きずって、未だに涙を流す。

そうやって泣いている私に、ずっとそばに居てくれる愛藍は言葉を掛けてくれる。

「おい、もう泣くなって」

「だって、草太が可哀想だよ」

涙声で私は答えると、愛藍は突然申し訳なさそうな表情を私に見せた。
そして自分の意見を私に話してくれる。

「お前は間違ったことを言っていないと俺は思う。その通りだと俺は思う。味方がいないと寂しいし。まあ、俺がこんなこと言える立場じゃねぇってのは分かっているけど・・・・・」

段々声の小さくなる愛藍だったが、何か吹っ切れたのか続けた。

突然大きな声で私に訴える。

「だからよ、頼むから泣き止んでくれって!ってかお前の泣き顔を初めて見て俺マジで動揺しているんだけど」

愛藍は私の耳元で叫ぶから私は腹が立った。
鼓膜破れそうだし、何よりうるさい!

「うっさいな!泣き止みたかったら、とっくに泣き止んでるっての!」

私の声が商店街に響き渡る。
雨宿りをする猫も、驚いて逃げてしまった。

そして愛藍も負けじと大きな声で言葉を返す。
まるで昔みたいに。

「それもう泣き止んでるだろ!嘘泣きだろ!演技上手だな!母さんみたいに、ピアニスト兼女優で活躍したらどうだ!?」

「あー、もううるさい!ってか、アンタいつまでいるのさ」

何気無い私の質問は愛藍の心を抉ってしまった。
愛藍はかなりダメージを受けたように顔をしかめたけど、すぐに今まで見たことのない真剣な表情を見せる。

まるで、愛藍はこれを話すためだけに私の元に来たかのように。

「あの日のことをちゃんと茜と話をするまで、俺は帰らない」

そう来たか。

・・・・・・・。