暫くしてから紗季と妹の小緑が帰ってきた。
何故か大量のたこ焼きを手に、紗季は苦笑いを浮かべていた。

どうやら全部橙磨さんの屋台の売れ残りらしい。

混雑を予想して作ったらしいが、結果は完敗。
今頃一足先に、屋台を畳んでいるのではないかと想像してしまった。

それから私達は花火を見ながらたこ焼きを突っついた。
小緑もよく食べるが、樹々と紗季の手が止まらない。

花火前に大量に食べて、わさびたこ焼きロシアンルーレッド。
本当によく食べるものだ。

その浴衣の帯、外したら面白いことになっていそうだと、私は思った。

最後に夏休みの思い出を飾るように、今日一番の花火が打ち上げられた。
とてつもなく大きな音と、目の前の鮮やかな光に、私は生まれて初めて夏の思い出が出来たんだと思ってしまった。

きっと葵もこの花火を見ているんだと思うと、何故だか少しだけ懐かしい記憶と嬉しい気持ちになった。

それと『私ももっと頑張らないと』って、夜空に輝く七色の光を見て思った。

いろんな人に助けられて、仲間の声を聞けた色鮮やかな一日。