「ねぇ、茜ちゃん。何か力になれることない?」

気分の悪さを必死に堪えながら聞こえた城崎さんの言葉。

だけどなんて返したらいいのかわからない。
『気にしなくていいです』って、胸を張って言うべきなのかかな?

でもそれ以外の言葉が思い付かない。
嘘でもいいから何か言わないと。

そんな中、城崎さんは笑った。
それは私に語りかけるように、そして自分自身に言い聞かせるように、城崎さん話してくれる。

「って答えられるわけないよね。辛い思いするなら、しないように考えたらいい。でも人間って不思議よね。結局辛いことに耐性付いちゃって、現状を変えようとしない。『我慢』と言う言葉に結局頼っちゃうし。その言葉を選んでも、良いことなんて一つもないのに。そう言えば私がこの前来てくれたとき、全然お客さん居なかったでしょ?本当、売り上げなくて店閉めようかなって思ってるくらいよ。正直言って赤字だし。私を支えてくれた社長にも本当に申し訳ないし・・・・・」

私の目に浮かぶ涙を拭き取った城崎さんは話を続ける。

「私が売上のない店を閉店しない理由は、店の存在を維持しようと頑張っているだけだから。売上を上げたら自分の収入が増えるというのに、そんな努力したことがない。一度も売上を上げようと思ったことはない。だって怖いもん。失敗したら取り返しのつかないことになってしまうかもしれないし。でもね、挑戦しないと進まないのも事実。ほら、物事を長く考えた時にさ、『あの時こうやっておけば良かった』とか『あの日に挑戦しなかったから、今の苦しい自分がいる』って思いたくないでしょ?『後悔』ってやつ?だから私は後悔はしたくないの。どうしてあの時挑戦しなかったの?って思うような後悔だけは絶対にしたくない」

後悔だらけの人生を歩む私は、納得してただただ頷くことしか出来なかった。

同時に悔しさが私の中で溢れ出す。
二人に申し訳ないことをしてしまったと、今更ながら後悔。

この人は本当に私の心の闇を付いてくる。
もちろんいい意味だ。

まるで樹々や紗季と同じ、私の人生を照らし出す光のよう。
こんな私としっかり向き合って話してくれるなんて、普通あり得ないし。

どこまでも城崎さんは本気だし。

「だから、私とゲームをしない?『城崎美憂との約束』という名前のゲーム。もちろん罰ゲームありで」

城崎さんの提案に、私は首を傾げた。

「ゲーム、ですか?」

「そうゲーム。そうね、茜ちゃんが約束を破った罰ゲームは、葵くんに『ずっと好きでした』と告白する」

葵に告白?

・・・・・。

・・・・・・・。

え?