「一応。趣味でやってるだけですけど」
「そうなんだ!私の家は音楽一家でね。お父さんが音楽会社で働いて、お母さんは音楽の教師。それで幼い頃からピアノとかバイオリンやってたの。部活も吹奏楽でトロンボーンやってたけど、今は音楽はやってないの」
『トロンボーンって何だったけ?』と思いながら、私は必死に言葉を探す。
「なんで辞めちゃったんですか?」
桜さんは再び笑うと答えてくれる。
「こうみえて音楽の才能より運動の才能の方があったみたい。掛け持ちの陸上部で全国大会出たんだよ」
「す、凄いですね」
私のその震えたような言葉が気に入らなかったのか、桜さんの表情が曇る。
私、何かマズイことを言ってしまったのだろうか・・?
一方の桜さんは暗い顔で否定する。
「凄くないよ。上位の選手が続けて怪我しただけの繰り上がり出場。おまけに全国大会では、大怪我で選手生命終了のオチ。陸上が好きだったのに残念だったな。まぁ、でも私より辛い思いをした友人も居るんだけどね」
淡々と語る桜さんだったが、本人も気付かない内に涙がこぼれていた。
何か複雑な事情がありそうだ。
でもそれを慌てて拭き取った桜さんは、私に笑顔を見せてくれた。
桜さんは言葉を続ける。
「ご、ごめんね!変な話しちゃったね!そうだ、茜ちゃんは好きな曲とかある?」
「好きな曲ですか?」
私は考える。
ピアノをやっているからか、音楽は好きな方だ。
でも音楽プレーヤーに入っているのは、お気に入りの作曲家のものはがり。
流行りの曲や高校生がよく聞いていそうな音楽は入っていない。
だから答えに躊躇った。
『妙な空気になる』と思ったけど、そもそも今の私に嘘を付く余裕はない。
「『K・K』という海外の作曲家がいるですけど・・・・知らないですよね?」
「知ってるよ。イタリア出身の作曲家でしょ?」
迷いながら話す私の声に、桜さんは即答だった。
そしてその反応が私にとってすごく嬉しくて、私はいつの間にか大好きな作曲家について語っていた。
自分でも知らない自分が現れる。
「そうなんだ!私の家は音楽一家でね。お父さんが音楽会社で働いて、お母さんは音楽の教師。それで幼い頃からピアノとかバイオリンやってたの。部活も吹奏楽でトロンボーンやってたけど、今は音楽はやってないの」
『トロンボーンって何だったけ?』と思いながら、私は必死に言葉を探す。
「なんで辞めちゃったんですか?」
桜さんは再び笑うと答えてくれる。
「こうみえて音楽の才能より運動の才能の方があったみたい。掛け持ちの陸上部で全国大会出たんだよ」
「す、凄いですね」
私のその震えたような言葉が気に入らなかったのか、桜さんの表情が曇る。
私、何かマズイことを言ってしまったのだろうか・・?
一方の桜さんは暗い顔で否定する。
「凄くないよ。上位の選手が続けて怪我しただけの繰り上がり出場。おまけに全国大会では、大怪我で選手生命終了のオチ。陸上が好きだったのに残念だったな。まぁ、でも私より辛い思いをした友人も居るんだけどね」
淡々と語る桜さんだったが、本人も気付かない内に涙がこぼれていた。
何か複雑な事情がありそうだ。
でもそれを慌てて拭き取った桜さんは、私に笑顔を見せてくれた。
桜さんは言葉を続ける。
「ご、ごめんね!変な話しちゃったね!そうだ、茜ちゃんは好きな曲とかある?」
「好きな曲ですか?」
私は考える。
ピアノをやっているからか、音楽は好きな方だ。
でも音楽プレーヤーに入っているのは、お気に入りの作曲家のものはがり。
流行りの曲や高校生がよく聞いていそうな音楽は入っていない。
だから答えに躊躇った。
『妙な空気になる』と思ったけど、そもそも今の私に嘘を付く余裕はない。
「『K・K』という海外の作曲家がいるですけど・・・・知らないですよね?」
「知ってるよ。イタリア出身の作曲家でしょ?」
迷いながら話す私の声に、桜さんは即答だった。
そしてその反応が私にとってすごく嬉しくて、私はいつの間にか大好きな作曲家について語っていた。
自分でも知らない自分が現れる。