ルビコン

怖い。
人が怖い。

知らない人と一緒にいるのが怖い。
私が中学生の時、そんなことばかり考えていた。

毎日生き地獄。
教室にいるだけで、生きているのが嫌だと思ったことはよくある。

私は中学時代も『クラスメイトにいじめられていた』とか、そんなんじゃない。
逆にクラスメイトは優しく声を掛けてくれるだけなのに、それが怖い思った。

優しい人達なのに、私から見たクラスメイトは真っ黒な影。
それがただただ怖い。

クラスメイトは昨日のドラマの話しているだけ。
私には一切関係のない会話なのに、聞こえるクラスメイトの声は私を批判する声にしか思えなかった。

『桑原茜って、小学生のときにウサギを殺したらしい』とか『アイツは人の形をした悪魔だ』とか。
誰一人そんな事を言ってないのに。私のただの被害妄想なのに。

だから本当に『生きているのが辛い』と毎日思っていた。
『死のうかな』って毎日のように考えていた。

だって死んだらもうそんなことで悩まなくて済むし。
何もかも綺麗さっぱり収まるから。

それが私の中学時代の学校生活。
高校もそうなると怯えて入学式を迎えたけど、現実は全く違った。

彼女達に助けられて、私の学校生活に光が差した。

そして彼女達のおかげで、一人でいることが殆どなくなった。
そのせいで、誰かが怖いなんて自然と考えなくなっていた。

同時に『生きよう』と、明日のことを考えるようになった。
今までは、『明日なんて来なくていい』と心の底から思っていたのに。

本当に、彼女らにはいつも感謝している。
落ち込んだ私を、二人はすぐに励ましてくれる。

例えば、今のように・・・・・。

「いた!」

その無邪気で聞き覚えのある女の子の声に、私は無意識に振り向く。