まただ。
またこの押し潰されそうな何か。

私の心の底のに潜む闇が暴れまわっている。

その闇に触れると、私は吐き気と酷い頭痛を引き起こす。
逃げても逃げても、人の形をした黒い影が私を追い掛けてくる・・・・。

・・・・・。

江島葵(エノシマ アオイ)。
懐かしい名前だ。

私の昔の親友だったと言うのに、もう五年近くはその名前を聞いていなかった。
大好きな葵だったのに・・・・・。

どうしてこうなっちゃったんだろう。

・・・・・・。

そう思うと悔しかった。
心の底から腹が立った。

本当に、『昔の私は何をやらかしているんだ』って・・・・。

『ごめんなさい』の一言すら言えないなんて・・・・・。
取り残された私は再び人混みを歩く。
先を行く樹々と紗季の存在を忘れて、自分のペースでゆっくり下を向きながら歩いていく。

・・・・・・。

なぜだろう。
誰かと一緒なら楽しいお祭りの雰囲気も一人になった途端から急に不安に変わる。

まるでこれこそ知らない世界に来てしまったような気分だ。

歩く人達は真っ黒な影のよう。
不気味な声と恐い表情で、私の周りを通り過ぎる。

今まで楽しく思えた祭りも、一人になった途端から中傷的に考えるようになってしまう。
屋台の焼そばの香りも、本当に美味しいのか疑ってしまう。

金魚すくいをする子供の声も、目障りな雑音にしか聞こえない。
安いくじ引き屋に並ぶ高額な景品。『当たりなんて一つも入れてないだろう』と考えてしまう。

だから、夏祭りなんて全然楽しくなんかない。

早く帰りたい。

早くピアノを弾きたい。

早く一人になりたい。

・・・・・・。

やっぱりこれが私の心の声なのかな?

心の底から思っている言葉なのかな?

それすら・・・・わからない。

今の私、何を信じたらいいのか、わからない。

・・・・・・。