時刻はもうすぐ夜の七時。
真夏の真っ赤な太陽があと少しで消えようとしている。

同時に『大切な夏休みがまた一つ消費される』と思ったら、私は切なく思えた。
まだまだ遊んでいたいし。

でも今日は今からが本番。
夏祭りは暗くなってからが楽しい。

夜になると予想通り人が増え始めた。

どこを見渡しても騒がしく、参加者は楽しそうだ。
気が付けば周囲には人だらけ。

そんな中まるで遊園地のパレードのように、大きな和太鼓や和楽器を持って歩く大人達のパフォーマンスがあった。
この前の音楽祭で聞いた綺麗な音色ではなく、豪快で迫力のある演奏な音色。

そのあまり聞き慣れない音色に、何だか柴田アラン（シバタ　アラン）の豪快なピアノ演奏を思い出させてくれる。

大きな広場ではカラオケ大会が開催されていた。
老若男女問わない幅広い層に参加者は楽しそう。

他にも少年少女のダンスチームがパフォーマンスを見せてくれるみたいだ。

ちなみにそのダンスチームの名前は『スカイパイレーツ』と言うらしい。
何だか怖そうな名前だ。
そんなパフォーマンスを気にせずに、私達はひたすら屋台の食べ物を食べ尽くす。
一年ぶりの出来事に、私達は笑顔を見せる。

中でも紗季は笑顔が耐えなかった。

「あたし、チョコバナナ食べたい！紗季は？」

「樹々ちゃん食べ過ぎだよ！よく食べれるね」

「だって祭りでしか食べれない物ばかりなんだよ。今食べないと、明日にはないんだよ」

「確かにそうだよね！よーし、私も食べるぞ！」

二人の会話を聞きながら私は彼女たちの後を追うように歩く。
私も二人のように楽しみたいけど、疲れて休みたいのが本音。

それと歩き過ぎて膝が痛い。
多分日頃の運動不足が原因なのだろう。

参ったな。