高校三年生の夏休みになると、宿題なんて殆どないのが私の高校のやり方みたいだ。

でも最後の部活動や就職活動。
履歴書や面接の練習など、やることは山ほどあるのが高校三年生の夏休みの現状。

そう思うと、確かに宿題なんて必要ないのかもしれない。

私にとっての『人生最後の夏休み』がどんどん消費される。
気が付けばカレンダーも八月に変わり、進路が決まっていない私は、ピアノを弾いて寝る日々の繰り返し。

・・・・・・。

いや、『呑気にピアノを弾いててもいいのか?』と疑問。
同年代の人は死ぬ気で頑張っていると言うのに、私は何やってるんだろう。

八月になると暑さは更に増して行くと同時に、夏休みが無意味に消費される。
就職か進学かまだ曖昧なのに、このままでは本当に進路が決まらなそうだ。

いっそのこと、留年してやろうか。
そうしたらまた来年夏休みが訪れる。

そんな大切な夏休みの一日を『今日も誰とも遊ばずに部屋の中で過ごすのか』と考えていた、八月最初の土曜日。

私はいつも通り、冷房も扇風機も付けない自室でピアノを弾いていた。
特にコンクールやコンサートがあるわけではなく、私は好きな曲を趣味でピアノを弾き続ける。

しかし何度も引き続けている曲のため、飽きたというのが本音だ。
そろそろ新しい楽譜を買いにでも行こうかと迷っていたそんな時、ベットの上置かれた私の携帯電話が鳴った。

確認すると、相手は私の友達の松川樹々(マツカワ キキ)だった。
だから私はためらうことなく携帯電話を耳に当てる。