「その、茜の辛い過去。そんな思いがあったのにあたし、『無責任なこととか言ったりしてたかも』って思って」

正直私はホッとした。
『樹々はそんなことで悩んでいたんだ』って知ったから。

『それなら私でも何とか出来そうだ』って思ったから。

だから私は少し意地悪な言葉を使ってみる。

「樹々のくせに無責任って何?私、知らないし。ってか、樹々っていつも無責任な行動ばっかしてるじゃん」

流石に言い過ぎたかな?
でも私は続ける。

「それに私、過去のことを言えてスッキリしているし。むしろ『あんな辛い過去があって良かった』って思ってるし。そのお陰で紗季や樹々と出会えたんだから」

私の隣で紗季は驚いた表情を浮かべている。
きっと『桑原茜は強がっている』と思っているんだろう。

まあ実際にはかなり強がっている台詞だけど。
だってかなり無理矢理な考えだと思うし。

でもそれは『事実』だ。
多少でも前向きに考えたら、辛い過去でも楽しい人生に変わるかもしれないし。

一方の樹々は相変わらず浮かない表情。
らしくない樹々の表情は変わらない。

だから私は言葉をさらに付け足す。

「樹々ってそんなことで悩む人だった?ってか考えすぎ。私がいいって言えばもういいの」

傲慢な考えかな?
樹々は私の事を心配してるだけなのに。

だけど、そんなことで悩んでいる樹々が見たくないのが私の本音。
早くいつもの明るい樹々に戻って欲しい。

と言うか樹々を励ます私の言葉、なんか私らしくない。

でも今なら紗季が言った『茜ちゃんは変わったよね』の意味がわかった気がする。
『人と触れ合うと、人は変わるんだ』って私は学んだから。

『変わる』と言う意味が分かる気がする。

らしくない言葉が、『私が変わった証拠』かもしれないし。

でもまだ少しだけだけどね。
そこについてはまだまだ勉強中。

そんな私の隣で樹々はようやく笑った。
まるで夏のひまわりのように、満面の笑みを私に見せてくれる。

同時に私へ仕返しをしてくる。