「ねぇ茜ちゃん。私達のこと、信用できない?」

人が変わったような城崎さんの言葉に、私は無意識に城崎さんから目を逸らした。

信用していないわけではない。

樹々は大好きだし、城崎さんも優しくて尊敬している。
橙磨さんには助けてもらった感謝の言葉でいっぱいだ。

だからこそ、ここで話せば樹々が助けてくれるかもしれないし、城崎さんも力になってくれるはず。

橙磨さんは自分の過去を、会話のネタにしていた。
妹が重症で、自らも逮捕されたというのに。

そう考えたら私、『まだ踏み出してもいないんだな』って思った。
そもそも一人でどうにか出来るような問題じゃなさそうだし。

って言うか、一人じゃ絶対に解決出来ないし。

私、何をバカなことで悩んでいるんだろう・・・・。

城崎さんは続ける。

「茜ちゃんはもっと人を信用した方がいいよ。疑ってばっかじゃ人生辛いだけだし。まあでも、私は出会ってすぐだし、お互い何も知らないのは分かるよ。でも樹々ちゃん相手なら話せるんじゃないのかな?辛いときに本心を話せる関係。それが友達なんじゃないのかな?」

真っ赤な顔でも、城崎さんは笑顔を見せてくれる。

一方の樹々は頬を膨らせて怒っていた。

「いいよ茜、無理しなくても。辛いことはあたしにもあるし、あたしだって言いたくないこともあるし」

でもそれじゃ今までと変わらない。
もっと私も責任感持たないと、誰も笑顔になれない。

でもでも・・・・・。

・・・・・。

もう一歩踏み出せない馬鹿な私・・・・・。