続きを聞きたがっているのが分かる。
衣鶴は成績優秀者で全学費免除。トップ3も奨学金が寄与される。
次年度の奨学金寄与は、今年度の成績で決まる。あたしは約三分の一を落としていることになる。
「あたし、学校辞める」
「……なんで」
「もう勉強すんの嫌になった」
ぽーん、とボールが宙に浮く。視界の端でそれを捉えた。
「嫌になったって」
「放課後図書館に籠もって勉強すんのもつまんないし、それならバイトしてる方が有意義」
そもそも地頭が悪いので、勉強するのも一苦労だ。
境遇は同じでも、衣鶴とは中身が違う。