「衣鶴くんて何で水薙と仲良いの?」 何度か受けた質問だったこともあり、衣鶴は特に表情は変えなかった。 同じ学校出身だから、といつもなら答えた。 「水薙って、死んだら地獄に行くだろうって言うんだよ」 廊下を曲がると階段が見える。 そこで立ち止まる。 衣鶴はあのときを思い出した。 「え、地獄?」 「うん。俺もそう思うし、俺も行くと思う」 理解が追いつかない宇賀に、衣鶴は続けた。 「あんなに楽しそうに地獄に行くって言った奴、初めて見た」