衣鶴がこちらを見て、それからあたしの視線の先を辿る。

梅が咲いている。

「あたし言ったことあったっけ」
「ん?」

梅から衣鶴の方に焦点を戻す。

「よろしく、これから」

冬が終わる。

「なんだそれ」

衣鶴が肩を震わせて笑った。なんだよ、とその肩を軽く叩く。

「いや、こちらこそ、よろしく」

もうすぐ春が来る。