廊下で足音が聞こえる。あたしは一瞬そちらへ視線を向けた。

「どうしてそう思ったの?」

資料を捲りながら尋ねる。

「……何かを知りたかったり考えるとき、誰かが一緒に居ると心強いと思って。あたしにとってのそれが、衣鶴だったんだと思います」

そのページをこちらに向けた。それを覗き込む。

「学費が払えない子や未来のある子を支援する団体がいくつかあるの。条件は様々だけれど、水薙さんに合うものもあると思う」

知識は武器だ。武器は戦う為にあると思っていた。

少なくとも、あたしはそうだった。