文句を言いながらも祖母が看病をしてくれて、先に回復したのは衣鶴の方だった。
「これは処分します」
「あ、うん」
まだ寝込むあたしを前に、見つかった煙草を手にして言った。
あとこれも、と安いライターも見せる。
「これは数学のプリント。宇賀さんから貰った」
「宇賀……なんか言ってた?」
「俺の風邪がお前に移ったのか、お前の風邪が俺に移ったのか、どっちなんだって気にしてた」
「気にするとこがな……」
「とりあえずどっちか分からないって答えといた」
「あんたもな……」
もう少しだけ寝込んでいたい気分になった。