馬鹿にしてるわけではない。馬鹿なのだ、あんたもあたしも。
そう変わらない。
「いや、理由をつけて喧嘩をしたかったのかもな」
あたしにできるのはそれだけだから。
倒れていないノライヌが後ろから忍び寄るのが分かった。転がっていた警棒を拾って、それを往なそうと考えた。
ずささ、と何か引き摺るような音。目の前にいるノライヌが顔を顰めた。
そちらに視線を向けると、見慣れた制服がノライヌ一匹を引き摺っている。
驚いて警棒を落とすところだった。慌てて握り直す。
「え、は? 何やってんの」
衣鶴に背中を向けて尋ねる。