あの街を出て、勉強をした。

知識は武器だ。力となる。自分を裏切らない。強さに直結する。

衣鶴はそれを教えてくれた。だから何となく同じ夢を持ってると思っていた。そういう勘違いを自分の中で起こしていた。

そりゃあ衣鶴は頭も良いし、自分の夢があるに決まっている。同じ高校に通って、一緒に勉強しても、向いている先が違った。

留学とか、アメリカとか、あたしには無縁でよく分からない世界だけれど、衣鶴が進みたい場所へ、

「行くべきだと思う」


幸せを知ることは不幸なことだ。

もっと不幸なことは、幸せを知らないことだ。