半年前までは。 半分シャッターの閉まった店内に客が入ってくる気配。聞き慣れた足音に顔を上げる。 昔から、妙に耳だけが良かった。 「水薙、ただいま」 現れた姿に、二度瞬き。 居間の方へ上がった祖母の方へ向いた。 「ばーちゃん、帰ってきた」 昼休み、クラスメートの宇賀と過ごしていた。 興味深そうにこちらを見る。 「衣鶴くん、帰ってきたんだね。今朝、職員室で見た」 「昨日うちで夕飯食ってた」 「仲良いなあ」 あたしは惣菜パンを頬張った。