前に喧嘩で肩を脱臼して、以来ずっと肩に触れられることに不快感を覚える。
「本気か?」
「本気だし正気だ」
「それって、俺が留学したのと関係あるか?」
その質問に、笑わずにいられなかった。
自己防衛で笑ったんじゃない。
可笑しくて、堪らなかった。
「あたしにはお勉強よりも喧嘩の方が合ってる。あんたには、喧嘩よりもお勉強の方が合ってる。それだけの話だろ。あんたのことは、あたしには何も関係はない」
廊下の窓の鍵を開ける。開くと、外の空気の匂いがした。
「水薙、待て」
「あたしはイヌじゃない」
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