こちらを見て、担任が口を開いた。
あたしの口端は確かに切れて、絆創膏から血が滲んでいる。
「同じ中学、一緒に勉強してる、仲が良い、の三点から尋ねています」
「最初しか合ってません」
「そうね、残り二つは私の主観が入ってる」
それでは、巻き込まれる衣鶴が憐れだ。
窓の外から、部活をしている生徒たちの声が聞こえる。外周を走っているのか、皆の掛け声。
「この怪我は、家の階段で滑って落ちて出来ました。階段が急なんです、古い家なんで」
後半は事実だ。祖母もここ一年、階段を上ってない。
二階は物置とあたしの部屋しかないので支障はないけれど。
「階段以外に思い当たるところはない?」