というより、勉強方法は殆ど衣鶴から教わった。あたしが教えられるのは喧嘩の方法だけだった。

「してない」
「衣鶴くんが留学行ったの、そんなに怒ってるの?」 
「怒ってる? あたしが? なんで?」

衣鶴が行くと言ったので見送った。
あたしは何も言わなかった。

そこには何の感情もない。

「怖いから凄まないで」
「凄んでない」
「二人はさあ、知らない内に見ると付き合ってるようにも見えるんだけど、仲良くなるとそうじゃないなって思えるんだよね」

教科書をとじる。宇賀が廊下の方を見ている。

「戦場を生き抜いた、戦友だからな」

あたしは言った。