なんでこんなに自虐的なことを言ってるのだろう。
初めて喋った相手に。

いや、あたしはたぶん、自虐的なことを言う相手も居ない。

ここはそういう場所だから。

「俺もたぶん死んだら地獄に行くと思う。ここで道が違っても、行き着くとこは一緒だな」

そう言って男は、衣鶴は少しだけ笑った。
今よりずっと笑わない男だった。









「喧嘩でもしたの?」

宇賀がストローを咥えたまま喋る。あたしはパラパラと教科書を捲っていた。

「誰と誰が」
「あなたと衣鶴くん」

予習すると授業内容が分かる、と教えてくれたのは衣鶴だった。