だから、あたしが笑った。

「まー無理だろうけど」

自己防衛で笑うクセはつけない方が良い。舐められるからだ。
そう言われたのをふと思い出す。

「無理じゃない」

男は淡々と返した。

「本気で言ってる?」
「ここで生き抜けたら、これから先無理なことの方が少ない」
「ここは戦場かよ。まあでも、作るも何も、あたし長生きする気ないし」

煙草の箱。他人を殴ってついた拳の傷。

「きっとあたしは地獄に落ちるし」

目を瞬かせた男は、顔を顰めながら態勢を変えた。

「他人に教えられるほど、賢くない」