気配も何もなかった。呼吸していないんじゃないか、とそれを凝視する。

立ち上がって、顔を覗き込む。青痣が頬にあった。
なんとなく怪我の状態で、喧嘩をしたのか、リンチにあったのか分かるようになっていた。

これは多分後者だ。

「死んでる?」

それほど静かで、爪先で背中を突いた。う、とうめき声が聞こえる。

「あ、生きてた」

しゃがんで観察する。同じ学年で見た顔のような気もする。

薄っすら目を開けて顔を顰めた。なかなか美形な方だと思う。
上体を起こしたのを見て、少し離れた。

「あー」

声出しの練習か。