バスを降りる。ここは市の端で、隣の街に近い。だからだろう、星が見えない。
いつものことなのに、空を見上げる。どこに繋がっているかも分からない空。
コンビニに屯する中学生たちにガンを飛ばされ、ガンを飛ばし、横を通り抜ける。
寂れた商店街の外れにある古書店に裏口から入る。祖母と店番を替わった。
「夕飯、カレーで良いか」
「うん」
「衣鶴はまだ帰ってこんのか」
「知らね」
祖母がため息を吐く。そんなことを言われても、本当に知らないものは知らないのだ。
衣鶴は私の幼馴染であり、片割れだ。
いや、片割れだった。