中学までは義務教育なのは、馬鹿なあたしでも知っていた。
ここが、この街の中でも特にバカとクズが集まっていることも知っていた。
あと知っていたのは、悪いこと。先輩と絡んでいれば、大抵の悪いことは教えてもらえた。
他に知っていることは無かった。
誰もいない校舎裏で煙草を吸っていると、近くの樹に鳥が止まった。
見上げると花が咲いている。梅だ。
あ、梅が咲くと冷たい冬が終わるのも知っている。
煙を吐くと同時に、数人の足音。ここに向かってくるのが聞こえた。
勿体ないな、と思いながらも煙草の火を消す。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…