西の外れ、もっと向こう、街の外に生まれ育った家はある。
流石にそこから通うことは出来なくて、ギリギリこの街にある祖母の家に寝泊まりしているわけだけれど。
それももうすぐ終わりだ。
蕾の解けかかっている梅を見て、バスの背もたれに寄り掛かる。
バスを降りて、寂れた商店街を通る。それを抜けると、ひとつの大きな橋が見える。その向こうはいつも靄がかかっている。
霧ではない。スモッグだ。
主に工場から排出された大気汚染物質が太陽の紫外線を受けて化学反応を起こす。その濃度が高くなって視界不良となる。
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