生まれ育った街は、いつも何か焦げた匂いと鉄の味がした。
学校と名のつくものは不良の吹き溜まり。
教師は生徒に怯えている。
殺人以下の悪いことは中学までに終えて、警察はもう殆ど機能しない。
親がいたのはいつのことだろう。
大人は怪物に成り代わる子供を前に逃げる。
怪物になる前の子供たちはマウントを取り合い、徒党を組み、誰かを蔑む。路地裏にはゴミと一緒に喧嘩で負けた体が横たわる。
やらなきゃ、やられる。
やられたら、やり返す。
報復は生きる糧だ。朝を待つのは、復讐するため。
孤独は生まれたときから共にいる。
なんて、全部嘘だ。