「気のせいだって!」

「ホントかな?誠也さんに直接聞いちゃってもいい?」

「な、何を?」

「誠也さんは空ちゃんのことが好きかどうか」

と言うか海ちゃん、こんな意地悪な性格だったっけ?
それとも私自身がからかわれやすい性格だから?

って、そんなことはどうでもよくって・・・・。

「そ、それはだめ!絶対に許さない」

「なんでさ。誠也さん彼女いるの?」

誠也さんの彼女か・・・・。
私は知っているけど、実名は出したくない。

『海ちゃんのスッゴく身近な人物だ』って、とても言えないから私は言葉を濁す。
「ど、どうだろね。聞いたことないな・・・・」

でも私の嘘は見え見え。
すぐに海ちゃんに尻尾を捕まれる。

「空ちゃん、何か隠しているでしょ?」

「え?何も隠してないよ」

「ホントかな?その言葉が嘘っぽい」

「・・・・」

「ちょっと!なんで黙るのさ!何とか言ってよ!ますます怪しいじゃんか!」

私に怒った顔を見せて迫ってくる海ちゃん。
申し訳ないけど言いたくないし、言ったら多分松井先生に殺される。

なんとなくだけど・・・・・。

生徒玄関の下駄箱で、靴から学校指定のスリッパに履き替える私達。
そしてそのまま二階のへ階段を掛け上がり、私達の教室に向かう。

その間もさっきの私と海ちゃんの攻防は続いている。
誠也さんの彼女が誰なのか。

恋愛事が大好きな海ちゃんは、私から情報を吐かせようとくすぐり攻撃してくる・・・・。

って、くすぐるのだけはやめてください!

「う、海ちゃん!だ、だめだって!あはは!」

「いいじゃんか!私こう言うキャラだし」

「そう言うことじゃなくて!」

私は抱き付いてくすぐり攻撃をしてくる海ちゃんに抵抗しながら、私は海ちゃんより先に教室に入る。
不思議と今まで聞こえてくるハズのクラスメイトのノイズは聞こえない。

「・・・・え?」

でも代わりに見てはならない物を見てしまった。
黒板に書かれた酷い落書き。

生きることを否定されているような、最低なメッセージ。

「空ちゃん?どうしたの?」

私は迷った。
『私の声に反応する海ちゃんを教室に入れてもいいのか?』って。

でもそんなことを考えている間に海ちゃんも教室に入ってくる。

クラスメイトのノイズが聞こえる中、海ちゃんは自分への落書きに気が付く。

・・・・・。

「・・・・はい?」