「で、でもその、今そうやって味方になってくれるだけで私、スッゴく嬉しいって言うか。『過去はもう関係ない』って言うか・・・」

うまく言葉に出来ないから私自身は歯がゆい気持ちだけど、海ちゃんには私の気持ちが伝わったみたい。

突然私に飛び付いてくる海ちゃん。

「よかった!」

「ちょ!海ちゃん!」

でもあまりにも突然過ぎたため、私は海ちゃんを受け止められずに体制を崩す。

畳の上なら倒れてもまだマシだったと思うけど、私はフローリングの床に激しく体を打ち受けた。
海ちゃんの体重が私の全身に乗ったから、めちゃくちゃ痛い・・・・・。

「痛っ!」

「ご、ごめん!大丈夫?」

幸い頭はぶつけなかった。
でもやっぱり体は痛い。

そんな無様な私の上に乗る海ちゃんは何故だか小さく笑った。
そして誠也さん並みの酷い事を言ってくる。

「まあでも空ちゃんが生きているからいっか。死ななきゃ何やっても許されるし」

「えっ?ちょ、海ちゃん?」

今の海ちゃんの発言について私は少し考えたが、すぐに海ちゃんに手を引っ張られて立ち上がる。

そして海ちゃんはまた私に笑みを見せて、私に問い掛ける。

「もしかして空ちゃんの用事ってこれ?」

私は海ちゃんから目を逸らすと同時に小さく頷く。
そう言えば今日の放課後、『一緒に遊ぼう』って誘われていたんだっけ。

「あー、うん・・・・・。北條さんに呼び出されたから」

「じゃあこれから遊びにいこうよ!孝太くんも一緒にさ!」

孝太くん。

その言葉を聞いて私は海ちゃんの隣にいる大きな体格の男の子に目を移す。
そして挨拶を交わそうと思ったが、何て言ったらいいのか分からない私。

「あ、えっと・・・・」

だって男の子の友達なんて始めてだし。
誠也さんとはちょっと違うし。

そんな戸惑う私を見た孝太くんは私を見て優しく自己紹介。

「俺、高林孝太(タカバヤシ コウタ)。海の彼氏」

「えっ?彼氏?」

そう言って私が驚くと、海ちゃんは理不尽に私の頬を引っ張るって否定する。

ってか海ちゃん、何で私に攻撃するの?

「もう!空ちゃんに変な嘘つかないで!ごめんね、孝太くん基本嘘つきだから」

「嘘つきとはなんだよ。まあ嘘しかつかないけど」

「もう!」

海ちゃんはため息を吐くと私から離れた。
そして改めて私に遊びの提案をしてくれる。

「よーし!じゃあ新たな仲間が加わったし遊びにいこう!私、たこ焼き食べたーい!」

直後、孝太くんは呆れた顔を見せた。

「またかよ海。お前、たこ焼きしか食わないよな?たこ焼き食い過ぎてタコになるぞ」

「誰がタコよ!孝太くんはゴリラみたいな顔してるくせに」

「おい!それはただの悪口だぞ!猿はいいけどゴリラは許さん!」

「うるさいな!バカゴリラ!早く森に帰れ!」

「んだとこら!」

喧嘩をする二人のを見ながら私は小さく笑った。
『仲のいいカップルだな』って、ちょっぴり思いながら、私達は道場を後にして目的地に向かう。

向かうのは近くのショッピングモールだ。