膝を付く私の姿を見下ろす北條さん。
変わらずに本気で怒っているみたいだから、何度も私を蹴っていた。

もう『何をしても許さない』と言うような北條さんの絶望した目。

「やっぱり空、私達のこと本当は嫌いだったんでしょ?」

「そ、そういう、わけじゃ。痛っ!」

否定したのに、私は北條さんにまた理不尽に蹴られる。
いつの間にかうつ伏せになって倒れる私。

暴力は精神的にもキツいからやめてほしい・・・・。

でも精神的にキツいのは、北條さんも同じみたい。

北條さんは私の額に涙を落とすと、友達の私に訴える。

「あたし、アンタのこと信じていたのに、やっと友達が出来たと思っていたのに・・・・。なのになんでそんな酷いことをするのさ!あたし、あの時空に『助けて』って叫んだよね?怖くて逃げたとしても、なんで誰か助けを呼んでくれなかったのさ!自分は戦うことなくても、誰かを呼べばなんとかなったはずじゃんか!」

北條さんの言葉はいつも私の心に突き刺さる。
また頭の中が真っ白になる。

それと、『逃げようとする私の道』を正確に崩してくる。

・・・・・。

北條さんの言う通りで、確かにそうだ。
北條さんは何一つ間違ったことを言っていない。

言い訳を作って現実から逃げているのは、私の方。

それに『空に助けてって叫んだ』か・・・・。

そう言われたら私、本当に悪者じゃん。

友達に『助けて』と言われて逃げたら、本当のクズじゃん。

・・・・・・。

それなら私、いじめられたり殴られたりしても仕方ないよね。

悪者は早く退治しないといけないし。

「おい!何とか言えよ!」

何も答えずに、呆然とする私を蹴り続ける北條さん。
その姿は本当に『私と言う悪をやっつける正義のヒーロー』みたい。

北條さんは間違ったことは言っていない。

でも『正義のヒーローから存在を否定される悪者』か・・・・。

なんか自分をそう例えたら、『私って生きている意味ってあるのかな?』ってふと思ってしまった。

それに私、『友達裏切った悪者』としてクラスメイトに嫌われているし。

『もう居場所なんてない』と言うように、私の席は窓から投げ捨てられているし。

・・・・・。

ちょっとこれ、キツいな。

と言うか私、なんでここにいるんだろう。

そもそもなんで私生きているんだろ・・・・?

大好きな武瑠が亡くなって、生きる希望なんてとっくに失っているはずなのに。

後で誠也さんか松井先生、慰めてくれるかな?

でも慰めてもらって、また頑張れるかな?

・・・・・・。

・・・・・・・・。

私も武瑠と同じように、早く死にたい・・・・・・。