「私、暴行されているのが北條さんって分からなくて。だ、だから無視してしまったって言うか。『知らない人だったら私には関係ないかな?』って・・・・」

今の言葉に嘘は一つも言っていない。
本当の私の心の言葉だ。

無責任な一人の女子高校生の言葉。

そんな私の言葉に、北條さんは難しい言葉を使ってくる。

「じゃあ暴行されている奴があたしや花音ってわかったら、お前はあたし達を助けていたのかよ?」

その北條さんの言葉を聞いた私は、すぐに頭の中が真っ白に変わった。

私、とんでもない思い違いをしていたのかもしれないって・・・。

・・・・・・。

その場合については私、どうなんだろう。

仮に今、北條さんが目の前で暴行をされていたら私、北條さんを助けているのだろうか。
北條さんを守ってあげられるのだろうか。

・・・・・・。

いや、間違いなく逃げていると思う。
影で隠れて、『誰か来てくれないかな?』って願っているだけだと思う。

自分からは助けに行けないと思うし。

それに『友達』ってなんだろう。
友達が暴行を受けていたら、どんな怖い相手でも立ち向かわないといけないとだろうか。

友達が苦しんでいたら、苦しむ友達に手を差し出すのが友達なんだろうか。

・・・・・。

なんか頭痛くなってきた。
頭の中の思考が滅茶苦茶で、自分が何を考えているのかすら分からない。

分からないからこそ、私は目の前で北條さんが怒っていることをすら忘れた。

忘れていたから、また怒られる。

「なんとか言えよ!」

その言葉と同時に北條さんに思いっきりお腹を膝で蹴られた。
激しい痛みが私のお腹を襲うから、私は力が抜けてその場に膝を付く。

ちょっと吐きそう。

「うっ・・・・」
でも蹴られて当然だよね。
答えられない時点で私、『二人を友達だと思っていない』証拠になるもんね。

何様なんだろう、私って・・・・。

・・・・・・。