今日最後の授業が終わるチャイムと同時に、居眠りしていた生徒達はみんな起き始める。
松井先生の帰りのホームルームも一瞬で終わったから、これから放課後。

そして放課後になると同時に、殆どの人の活気が上がっていた。
部活に所属していないクラスメイトは、楽しそうに今からどこに遊びに行くか話し合っている。

友達のいない私には、よくわからない光景。

でも不思議と今日は私も実はその一人。
部活に所属していない私は自分の席で帰る準備をしていたが、突然声をかけられる。

「空ちゃん!今から孝太くんと遊びに行くんだけど、一緒に来ない?」

その明るい声に私は顔を上げると、そこには海ちゃんがいた。
優しく私に笑顔を見せてくれる。

それと海ちゃんの友達である大きな体の男子生徒が一人。
名前は海ちゃんが言った『孝太(コウタ)くん』だっけ?。

「えっと」

当然のように戸惑う私。
こんな言葉、久し振りだから何て返せばいいのかわからない。

・・・・・・。

でも実は答えは決まっている。
今日はどうしても行かないとダメな場所がある。

だから私は海ちゃんから目を逸らし、独り言のように小さく呟く。

「今日は用事があって。その、ごめんなさい」

直後海ちゃんは肩を落とした。
本当にごめんなさい。

「そっか・・・。残念だな。じゃあまた今度遊ぼうね!」

海ちゃんと男子生徒は私に寂しそうな背中を見せて、自分の席に戻っていった。
せっかく誘ってくれたのに、本当に申し訳ない気持ちで押し潰されそうな私。

・・・・・。

でもごめん、海ちゃん。

今日は北條さんと会う予定があるんた。

海ちゃんまで巻き込むわけにはいかないし。

巻き込みたくないし・・・・・・・。