午後の授業から雨が降ってきた。
そう言えば天気予報では『午後から雨だ』って言っていたっけ。

でも傘、持ってきてないな。
どうしよう。

家まで歩いて帰ったら少し遠いし。

どうしよう・・・・。

最後の授業である現代文はとても静かな時間だった。
先程の授業が体育だからか、みんな疲れて寝ている。

お経のような現代文の授業も何一つ面白くないから頭に入ってこないし、何より私も正直スッゴく眠たい。

土日のお店の手伝いの疲労感や、武瑠が亡くなってからあまり寝ていなから、とにかく疲れているし。

気を抜けば、私も居眠りしそう。

そんな静かな授業中、突然私の隣の席に座る女子生徒に肩を叩かれる。
一枚の折り畳まれたノートの切れ端を渡される。

そして次の女子生徒の小声に、私の目は完全に覚める。

「北條から。見ろってさ」

北條さん。
ここに来ての彼女の名前に無意識に身震いする私。

また何か始まるのかと、不安に押し潰されそうになる・・・・。

私は少し北條さんの座る席を振り返ると、北條さんは退屈そうに黒板の字を写していた。
携帯電話を机の下に隠しながら、時々その携帯電話を触っている。

ちなみに小坂さんは北條さんと違って寝ていた。
全く授業を受ける気なく、自分の席で鞄を抱き枕のように抱えて寝ている。

ダメなんだけど何だか少し可愛いかも。

そんな二人を気にしながら、私は渡された紙に目を通す。
震えた手で、この紙を手に取る。

・・・・・・。

でも読むのをやめた。
理由は特にない。

結局何も確認せず、私はその紙をペンケースに閉まって私は再び授業に集中することにした。
何事も無かったかのように、黒板の文字を写していく私。

その頃には眠気は完全に無くなった。
不思議と私の中で空気が張り詰めた気がしたから。

・・・・・・。

やっぱり、何かあるよね。
そう簡単には終わらないよね。