松井先生は少し断線した話を戻すと、私の背中を叩いて元気付けてくれる。

「だから勉強に集中して、黙って今度の期末テストで満点とってこい!あの二人はあたしがなんとかするからさ。約束だぞ?」

約束。

その言葉を聞いて、不思議と勇気が出た。
辛い学校生活だけど『頑張ろう』と思った。

松井先生に海ちゃん。
何だか味方がいると思うと不思議と安心する。

安心したから、学校の中でも笑顔を見せる。

「はい!ありがとうございます」

「おう。その意気だ。つか空ちゃん」

何だろうと私は首を小さく傾げた。
ふと目に入った時計の針は、一限目の授業が開始する八時五十分を指している。

一方で、松井先生は意地悪な笑みを見せてくる・・・・。

「早く戻らないと社会科の先生に怒られるぞ」

その松井先生の言葉と共に、一限目の授業が開始されるチャイムが鳴り響いた。

同時に私は焦り出す。

「やばっ!」

チャイムが鳴り終わるまでに教室にいないと、『入室届け』と言うめんどくさい書類を書かないと教室には入れないし、授業にも受けさせて貰えない。

だから慌てた私は体育教官室から出ようとするけど、松井先生に止められる。

「空!」

「な、なんですか?」

松井先生は私を見て笑う。同時にピースを私に見せている。

「困ったら相談してこいよ。なんでも力になってやるから」
松井先生は私の味方。
そう改めて理解したら不思議と私からも笑みが溢れる。

「はい!」

「おっ、また空ちゃんが笑った。そう言えば誠也が空ちゃんを笑わせるには苦労したって言っていたな」

「えっ?」

「早く行け!バカ野郎!」

バカ野郎は余計だ。
松井先生、一応教師なんでしょ?

「はーい」

再び私は松井先生に笑顔を見せると、慌てて教室に戻った。
チャイムが鳴り終わるまでに、なんとか教室に滑り込む。

社会科の先生も意外な人物の滑り込みに、多少驚いている。

こうして今日の授業が始まった。
いつもと違って朝は平和だったから、不思議と授業にも集中できた。

気が付けば昼休みで、不思議と北條さんと小坂さんは私に何もしてこない。

だから今日一日、嫌な思いをしていない私。
このままこの時間が続けばいいんだけど・・・・・。

・・・・・・。

神様はそれを許してくれない。