九月。
真夏のような暑い日差しはまだ降り注ぐが、夏休みは終わり。

同時に学校が始まる。
友達と会える時間がやって来る・・・・。

私はいつも通り学校に向かい、教室に着く。
そして自分の席に座ったら、いつもの仲良しの二人が私の元までやって来た。
私の友達の北條さんと、小坂さん。

でも北條さんは今まで見せたことのない怖い表情を見せて、私に問い詰める。
一番問われたくないセリフを私に問い掛ける・・・・。

「空、なんで私達が襲われているのに、助けくれなかったの?」

そう言って、北條さんは私の机を大きく叩いた。
北條さんの額や腕には微かだけど青いアザがある。

そしてそれは小坂さんも同じようなアザがあった。
それと怒りを噛み殺したような、とても悔しそうな小坂さんの表情。

一方で私は何も答えられなかった。
謝ることを忘れて、言い訳すら思い付かなかった。

と言うより、答えられなかった。

だって、今まで優しかった二人が私に見せたことのない表情を見せているんだもん。
どんな時も、私に笑顔を見せてくれた二人だからこそ、私の心にその鋭利な刃物のような怖い表情は突き刺さる。

それはまるで、知らない世界に来てしまったみたい。

だから私、ずっと北條さんと小坂さんの怖い視線を浴びながら下を向くだけの時間が続いた。
言葉なんて出てこないから、二人に自分の想いは伝えられないまま。

だけど、私は理解したことがある。

『夏休みの終わりのトンネル内で見た暴行を受けていた二人の女の子は、やっぱり北條さんと小坂さんなんだ』って・・・・・。
そう確信した。

二人は具体的なことを話さなかったけど、私自身思い当たる出来事を抱えているから、北條さんが言う出来事は『夏休み終わりに見たトンネル内の出来事』だとすぐに理解した。

そして私、『とんでもないことをしてしまったんだ』って、大きな罪悪感を感じた。
私、二人とは友達なのに、『最低な事をしてしまったんだ』って後悔した。

『もう楽しかった頃には戻れないんだろうな』って、怯えながら。