月曜日。
一週間の始まりと共に、学校が始まる。

同時に『私の現実』が始まる。

誠也さんと一緒に遊んだ日、それと武瑠のお葬式などで学校を休んだから、約一週間ぶりの学校。
何だか不思議と懐かしく感じる。

本当はお父さんに学校に行くのを止められていた。
『無理するな』って・・・・・。

でも今の私には『学校』しか選択肢がないのが現状だ。
逆に学校に行かなかったら、『何をするんだ？』って話になっちゃうし。

学校を休んで『アルバイト』をするのもちょっと違うと思うし。
『現実が嫌だからといって家に引きこもる』のも変な話だし。

だから私はいつもの学校の制服を着て、いつもの時間になると家を出る。
いつもより重たく感じる足を動かして、ゆっくりと学校へ歩いていく。

すぐに嫌いな学校の校門が見えてくる。

・・・・・。

やっぱり学校の校門を見たら心が少し痛む私。

『これから一週間、また耐えられるのかな？』って、やっぱり考えてしまう。

『また窓から自分の机が投げつけられているのではないか？』と不安になる。

もしかしたら黒板に悪口が書かれているかもしれないし。

机はあっても、引き出しの中の教科書類は全て捨てられているかもしれないし・・・・・。

・・・・・。

ちょっと足が重いな。

やっぱり帰ろうかな。

でも、行かないと・・・・。

いつも通り下駄箱で自分のシューズに履き替えて、私は二階に位置する自分の教室に向かう。
みんなの視線を気にしながら、暗い顔で廊下を歩いていく私。

教室まではちょっと遠い。

そんな中、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
とても明るい声女の子の声が私の耳に届く。

「おはよ！空ちゃん！」

学校で私の名前を下で呼ぶ生徒は北條さんか小坂さんくらい。

だから無意識に警戒して振り返ってみたけど、そこにいたのはこの前一緒にお父さんのお寿司を食べた女の子だった。

彼女の名前は川下海（カワシタ　ウミ）ちゃん。