昨日までの私の携帯電話の待受画面は、初期設定のままの『青い海と青い空の画像』だった。
待受画面の変更の仕方なんて、機械音痴の私にはわからない。

でも今は違う。

私の携帯電話の待受画面は、いつの間にか武瑠と私の自撮り写真に変わっていた。
昨日私と武瑠で一緒に撮った、笑顔の武瑠と武瑠と一緒に笑う私の写真。

・・・・・・。

ってか、どうして?

どうしてこの写真が待ち受けに?

・・・・・・・。

・・・・・・・・・。

そっか、武瑠の仕業だ。
武瑠が残してくれたんだ。

『自分は死ぬ』ってわかっているから、『私との思い出』を武瑠なりに残してくれたんだ。

私が悲しまないように。

『オレはいつでも姉ちゃんの味方だ』ってその待ち受け画面が教えてくれるように。

・・・・・・・・。

ホント、すごい男の子だよ武瑠は。
まだ九歳なのに、ずっと私のことを考えてくれる。

こんなダメなお姉ちゃんを、見捨てずに助けてくれる。

ホント、大好き・・・・。

そんな私の携帯電話の待受画面を見て、お父さんは笑みを溢して小さく呟く。

「よく撮れているじゃねえか」

一方の誠也さんは何度も私の肩を叩いてくれる。
すごく嬉しそうにな誠也さんの表情。

「ほらね、武瑠くんは空ちゃんを見守ってれているでしょ?」

携帯電話の電源を付けると、武瑠が微笑んで見守ってくれるから、自分の先程の言葉が証明されたかのように嬉しそうな誠也さん。

私も誠也さんの言葉が本当になったから、すごく嬉しい。

『いつでも武瑠が側に居てくれる』と思ったら凄く嬉しい。

また武瑠が励ましてくれるから、私も頑張れる。

そして『頑張ろう』って思うから、私から自然と笑顔が生まれる。

武瑠が私の明日を作ってくれる。

「ありがと、武瑠。お姉ちゃん、頑張る」

もう一人じゃない。

今日何度もその言葉を教えてもらった私は、『明日も今日みたいに頑張ろう』と心に決めた。
一人じゃ出来ない事でも、『誰かと一緒なら出来る事もある』って今日一日学んだから。

誠也さんと一緒ならできること。

お父さんと一緒ならできること。

おばあちゃんと一緒ならできること。

そして、武瑠が側にいてくれるから出来ること・・・・。

何より私には、たくさんの『味方』がいる。
みんな涙を見せる私を励ましてくれる。

・・・・・・・。

そう考えたら私、『もう一人で悩む必要なんてない』と思った。

誰が側に居てくれて、私は支えられる。

そして誰かがいるから、私も頑張れる。

明日からまた辛い一日が始まるかもしれないけど、もっと私も前を向いて生きていかないと。

じゃないと自分を変えられない。
今の自分が嫌いなら自分を変えていかないと。

だから・・・・。

負けるな、私。
絶対に負けるな美柳空。

最後は絶対に笑ってやるって、私は決めたのだから。

私を支えてくれたみんなと一緒にね・・・・・。
武瑠もこれからも私を見守っていてほしいな。

お姉ちゃん、絶対に頑張るからさ。

武瑠と一緒に、また笑いたい・・・・・。