「空ちゃんは優しいお姉ちゃんだからね。武瑠くんも幸せだったと思うよ。武瑠くんもこの前、『空姉ちゃんの事が好き』って言ってたし」

誠也さんは私の背中を撫でると続ける。

「だから空ちゃん、顔を上げて。悲しくて泣いている顔は、俺もみたくないし武瑠くんも見たくないはず。お姉ちゃんの苦しむ姿なんて武瑠くんは見たくないからね。一度でいいからまた笑ってみてよ」

溢れる涙を拭いながら、私は誠也さんの言葉に小さく頷いた。

でもまだ笑顔は出てこない私。
さっきまでずっと笑っていたのに。

・・・・・。

ってか私、どうやって笑ったらいいんだっけ?

誠也さん。私、どうやって笑っていたの?

・・・・・・・。

確かに武瑠、私の悲しい顔が大嫌いだった。
いつも私が泣きそうになったら、昔からいつも側に居てくれた。

武瑠は情けないお姉ちゃんを励まそうとしてくれたし、『姉ちゃんは俺が守る』って、何度も武瑠は言ってくれた。

でもその武瑠が居なくなって、『笑え』って言われても笑えるわけないじゃん。

だってもう会えないんだよ。
大好きな武瑠ともう会えないんだよ。

できるわけないじゃん!
大好きな武瑠が亡くなって、笑えるわけないじゃん!

そんなの私には無理だよ。
出来ないよ・・・・・。

そう思ったら、また涙が溢れ出した。
泣いてばっかじゃダメって自分でも思うけど、そんなの無理。

だって悲しいものは悲しいもん。
それに私には笑う力はないんだし。

そんな力はないんだし・・・・。

笑うことなんて、難しいし。

と言うか、もう笑えない・・・・・・。