逃げ続けた私だが、すぐに追い掛けてくる誠也さんに捕まった。

そしてまた私の手をギュッと握り締めると、私に説教を始める誠也さん。

「こら空ちゃん!逃げちゃダメだろ?」

一方の私は、また必死に抵抗する。

「離してください!ジェットコースターには乗りたくないんです!」

「じゃあ何で遊園地に行きたいって行ったの?空ちゃんが『遊園地に行きたい』って提案したんだよ」

私が遊園地に行きたいと提案した。

・・・・・確かにそうだ。

「そ、それは・・・・」

ここに来たかった理由を説明したかったけど、私は言葉に詰まってしまった。

理由は、ふと脳裏に北條さんと小坂さんの顔が浮かんだから。
突然楽しかった記憶が私の脳内を駆け巡り、苦しくなったから・・・。

ここに来たのは『小学生の遠足以来』と言ったが、実は私は今年の夏休みに一度だけ訪れている。

もちろん一人じゃなくて、北條さんと小坂さんと一緒だ。
あの時は本当に楽しかったっけ。

夜遅くまで三人ではしゃいでいたっけ。

・・・・・・。

・・・・なんで今はこうなっちゃったんだろ。