「楽しいね、十秒後の自分を想像するのって。明日や明後日、来週や来月の自分を想像するのって。妄想でもいいから、嘘でもいいから、『頑張る自分の姿を想像する』って。『こんな自分になれたらいいな』って、思えたらさ」

誠也さんの言葉に、その通りだと思った私は大きく頷く。

「そうですね!生きていく事が、楽しくなる瞬間ですね」

そう言葉にしたら、不思議と私の中から『勇気』が出てくる。

生きようと、明日が来るのが楽しみになる。

「誰かが一緒なら、それはきっと『大きな力』になる。そう教えてくれたみんなに、『恩を返せるような私』になりたい。ここにいない、私の友達のみんなにも恩を返したい。だから、『こんな私を応援してくれたな』って美柳空は思います」

私は一人じゃない。

そう言うように、私はこのお店に飾ってある一枚の家族写真に目を移した。

それはお父さんがとても大切にしていた写真立て。
その中には今から七年前の写真。

大好きな将大お父さんに肩車してもらう幼い頃の私、空と、そのお父さんに抱きつく茉尋お母さん。
それと呆れた顔で私達を見つめるキヨおばあちゃんと、おばあちゃんに抱かれてぐっすり気持ちよく眠る私の弟の武瑠の姿。

そしてそれは最後に撮った、美柳家の家族写真。
私の大好きな、大好きな家族の写真。

その大好きな家族に向かって、私は叫ぶ。

「よし!私も天国の家族に認めてもらお!『美柳空は今を生きている』って、『明日も楽しく生きてやるんだ』って!それが今、私が一番やりたい事。挑戦したい事。大好きな家族に伝えたい事。だから・・・」

せっかく生まれたなら、楽しい人生にしたい。
『生まれてきて、産んでくれてありがとう』って両親に言えるような人生を私は送りたい。

そしてその人生を歩む上で、絶対に忘れてはならない事。

人生を楽しむのに欠かせない事。

それは・・・・・笑う事。

笑って生きていく事。

だから・・・・・。

「私、ずっと笑っていたいです!」

そう言って、私は満面の笑みを見せた。

言葉通り、『ずっと笑って生きていきたい』と思うように。

難しく考えずに、誰よりも楽しく生きていけるように。

私を見て、みんな笑顔になるように。

私の笑顔がみんなに伝染するように。

この世界が笑える世の中になるように。

そして、明日もまた笑えるように・・・・・・・。