「え?美味しそう!食べたい!」

私の前に豪華なお寿司を置いてくれたってことは、もちろん私のために用意してくれたお寿司なんだろう。
優しく私想いの誠也さんが、お腹を空かした私のために用意してくれたお寿司なんだろう。

私が最後にお寿司を食べたのって、海ちゃんと出会った日が最後だし。

全然食べてなかったし。

・・・・・・・・。

だったら食べる!
お父さんの一番弟子の誠也さんが握ってくれたお寿司なら、美味しいに決まっているし。

いっぱい食べたいのに。

・・・・・・・。

このばか誠也さんは本当に性格が腐っている。

「せっかく空ちゃんが来るから握ってあげたのに。『絶縁』なら、もうこのお寿司は必要ないよね?それに、空ちゃんは俺が握った寿司よりも将大さんのお寿司が一番好きだし。俺もキヨさんにこのお店を任されたけど、まだまだ将大さんの実力には程遠いし」

そう言って、私の目の前に置いたはずのお寿司を下げる誠也さん。
私の手の届かない場所にお寿司が盛られたお皿を置く誠也さん。

ってはい?

「そんなのずるい!食べたい!」

必死の私の声に誠也さんは悪魔のように笑う。

「あはは!お寿司で簡単に釣られる空ちゃん。相変わらず可愛いね?必死になって食べたいって・・・・あはは!」

「うるさいです!」

今の私、『いつも通り田中誠也に踊らされている』と言うことは嫌でも理解した。
だからこのふざけた目の前の大将をぶん殴ってやろうかと思ったけど・・・・・・・。

私は改めて田中誠也のことが大嫌いだと思い出す。

「でもいいです。お寿司なんかいりません。お父さんのお寿司は大好きだけど、誠也さんのお寿司は嫌いですし。まずいですし」

「そんなこと言って。本当は食べたいくせに」

「いりません!ってか誠也さんには用はないです。私は千尋さんに呼ばれてここに来ました。あとお昼の営業が終わって休憩時間なら、早く引っ込んで休んでいてください」

誠也さんは笑う。

「あはは!最近の空ちゃん、性格が曲がってきたね?前まではただただ可愛いだけが売りだったのに」

うるさい!
もう絶対にボコボコにしてやるんだから!

ってか可愛いて言うな!

恥ずかしいじゃんか・・・・。