そんな千尋さんに呼び出された今日一月十一日。
私にはまだ関係ないけど、成人式前日の日曜日。

今日一日中特に予定のない私だからこそ、誠也さんに『お店を手伝って欲しい』とお願いされていた。
もちろん私は今日も断り続けていた。

理由は誠也さんのことが嫌いだから。
顔も見たくないくらい嫌いだし。

・・・・・・・。

でも千尋さんとの待ち合わせ場所は、大嫌いな誠也さんが働くお寿司屋さん。
私のお父さんが大将を務めていた、私の思い出の場所。

いつも私とお父さんが笑っていた場所。

ってか誠也のやろう、お父さんのお店を『私の許可』なく乗っ取りやがって。
何様のつもりなんだ。田中誠也って奴は。

ここを『きゃばくら』と勘違いしているんじゃないか?

だから私、『田中誠也に文句を言ってやる』と思いながら、お店の扉を開けた。
もちろん不機嫌な顔で。

ランチタイムは終わり、休憩時間にも関わらず板場でお寿司を握っている田中誠也をにらみつけながら・・・・・。

そして聞こえる田中誠也の私への嫌味。

「やあ、いらっしゃい空ちゃん。千尋はまだ来てないよ。ってかお昼の営業時間は終わったから、来てももう俺の寿司は食えないよ」

うるさい。
早くお父さんのお店から出て行け。

ってか、別にアンタのお寿司は食べたくないし。
私が好きなのは、お父さんが握るお寿司だし。

「なんで待ち合わせがここなんですか?こんな『女たらしの大将』ががいる店」

その私の言葉に、誠也さんは苦笑い。

「女たらしって・・・・・。ごめんって空ちゃん。でも『仕事だから仕方ない』って言うか。俺、昔から結構モテるからそこに関しては俺も悩んでいるって言うか」

開き直るな!
ばーか!

「言い訳なんて聞きたくないです!浮気なんかしやがって!私もその気になれば浮気ぐらい出来るんですからね!舐めないでください」

また苦笑いを一つ浮かべる誠也さん。

「あははは。困ったな・・・・空ちゃんの浮気は。悪い男に捕まる予感しかしないのに。ってか勝手な行動は許さないからね。そのために首輪を与えたわけだし」

・・・・・首輪?

ってかまだ言うかこのばか誠也さんは。

「誠也さん!このばか。もう知らないです。もう別れます!絶縁です、破門です」

「破門って・・・・。空ちゃん意味わかってる?」

破門?
知るわけないじゃん。
テキトーに言ってみただけだし。

ってかなんで千尋さんはこのお店を待ち合わせにしたのだろう。
それになんでまだ千尋さんは来てないんだろう。

この『ばか』と二人きりなんて、絶対に嫌なのに。
顔も見たくないのに。

・・・・・・・・・。

でも私、すぐに誠也さんを許してしまう。
お腹を空かした私の前に、『豪華な握り寿司の盛り合わせ』が置かれたから簡単に誠也さんに心を許してしまう。

ってか私が大好きな甘エビもある!