「うるさい!やっぱり誠也さんのばーか!」

そう叫んだ私は、背後から私を抑える千尋さんを振り払い、目の前の誠也さんから距離を取って逃げた。

そして、キッチンが見えるお店の奥に逃げようとするけど・・・。

・・・・・。

私が逃げた先には、もう一人の敵がいる。
大好きだけど、大嫌いな存在でもある真奈美さんがいる。

そんな真奈美さんに私は簡単に捕まってしまった。
たまたまキッチンから出てきた真奈美さんに、笑顔で背後から捕らえられた。

ある意味誠也さんより捕まりたくない敵・・・・・。

ってか、真奈美さんに捕まるのだけは絶対に嫌だ!
この人、一番相手にしたくない人だし。

誠也さんよりサイコパスで、一番怖い人だし・・・・・。
だから私は全力で暴れて、真奈美さんから離れようとする。

声も張る。

「嫌です!真奈美さんは絶対に嫌です!」

そう言って真奈美さんの中で暴れ続けたら、真奈美さんからから離れることに成功した。
そして、私はまた店内を駆け抜ける。

思い切って、このお店を出る勢いでみんなから逃げようとする私。

・・・・・・・。

でも真奈美さんの一言で、みんなの私を見る目が変わる。

みんなの目が、悪そうにギラりと光る。

「よし!今からハムスターちゃんを捕まえた人は、ハムスターちゃんを朝までいじめてもいいよ!奴隷にしてもいいよ」

奴隷はひどいです真奈美さん・・・・。

ってかハムスターじゃない!

本当は真奈美さんもばか誠也さん同様にギャフンと言わせたいけど、そんなことをしたら逆にギャフンと言わされそうだから私はぐっと我慢。

でも抗議はする。

「真奈美さん!変なこと言わないでください!」

私はそう言って、みんなに捕まらないように周囲を見渡しながら距離を取る私。
私を見て目を輝かせる『野獣達』を警戒する私。

・・・・・・・・。

これはある意味、『戦』だ。
美柳空を狙う野獣との戦い。

でも今の私には、この野獣を倒す武器や知恵は兼ね揃えていない。
戦ってもいいけど、現状奴らを『ギャフン』と言わせる事が出来ないから、私は逃げることしか出来ない。

だからこそ、捕まったら次こそ何をされるかわからない。
また私が大嫌いな『くすぐり攻撃』や、『セクハラ攻撃』をしてきて私を追い込むかもしれない。

私の嫌がる顔を見て、みんなはお腹を抱えて笑うと思う。

ってかそれ、もう立派な『いじめ』なのに。

・・・・・・・。

本当にこの状況、今の私には味方はいないと思わされる・・・・。