正直な気持ちを言うと、意味がわからなかった。

どうしてみんな私をみんな祝っているのか、暖かい拍手を送っているのか、理解出来なかった。

だって『私の誕生日』って。

・・・・・・・・・。

・・・・・頭痛くなってきた。

だって、『もうその日のことは思い出さない』って決めたし。

ちょうど七年前、お母さんが倒れてしまったから、クリスマスと呼ばれる今日は、一年で一番嫌いな一日なのに。

私とお母さんが生まれたこの十二月二十五日に、大好きなお母さんは私の元から消えていったんだし。

だから毎年この日が来ると、胸が苦しくなるし。

本当は今日ずっと、胸が痛かったし。
街のクリスマスの雰囲気に、ものすごく不安になっていた私だし。

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でもそんな私の本当の気持ちを知らないみんなは、私に祝福の言葉を掛けてくる。

「今日は空ちゃんの誕生日。お母さんである茉尋さんと一緒の日に生まれた空ちゃん」

その誠也さんの言葉の直後、海ちゃんも続く。

「お母さんと誕生日が一緒なんて、すっごい偶然だよね!しかもクリスマスの日に生まれるなんて」

千尋さんも続く・・・・。

「おめでとう空!あと少しで成人だね。大人の道もあとちょっとだよ」

孝太くんも、花音ちゃんも・・・・・・。

「十七歳の誕生日おめでとー!かのんは来年の三月だから、かのんも早く誕生日来て欲しいな。誕生日プレゼントも欲しいし。こーたくんは誕生日いつ?」

「俺も来年だ。二月十日。俺達早生まれだな」

「やったねー!」

息を合わせる花音ちゃんと孝太くんの二人。

そして私の目の前で、大きなケーキを両手いっぱいで支える燐ちゃん。
その大きなイチゴが乗ったケーキには『空ちゃん十七歳の誕生日おめでとう』と書かれたチョコレートを見せてくる燐ちゃん。

燐ちゃんも私に現実を突きつけて来る。

「空、お誕生日おめでとう。今日は空が生まれてきて十七年目の記念日だよ」

私が生まれて十七年目の記念日。

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